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学校検尿について


学校検尿について

学校検尿は1973年以降日本全国で学校保健法の下行われている事業です。慢性糸球体腎炎という進行すると腎機能が廃絶してしまう可能性のある疾患を早期発見することを目的に行われています。かつては日本人小児で末期腎不全になってしまう人の中で慢性糸球体腎炎の占める割合が半分近くであったのが今は殆どいなくなっているのは、この事業のおかげであろうと言われています。
学校検尿では、あわせて糖尿病の早期発見を目的に尿糖の検査も行われています。八王子市内でも、例年多くの児が重篤化に至る前に糖尿病の早期発見をされ、事なきを得ています。

学校検尿はいつ行われているの?

検尿をいつ行うかは、各地方自治体に任されていますが、八王子市では一般的に4月~6月ぐらいに行われています。一次検尿では全員が早朝尿を持参するように指示されているはずで、一次検尿で陽性であった児は二次検尿を提出する事になります。尿糖が陽性の場合、二次検尿は眠前尿(食後の尿)を提出するよう指示されるはずです。

どんな検査を行っていて、どういう人が陽性と言われるの?

通常の検尿では、試験紙法(尿定性)という方法の検査が行われていて、尿潜血1+以上、尿蛋白1+以上、尿糖1+以上、のいずれかの所見がある児は陽性と判定されます。特に、“尿蛋白3+以上”、“尿潜血3+以上、尿蛋白2+”、“尿糖3+以上”の場合は、緊急性のある病態が隠れている可能性があるので、1週間以内に受診する緊急受診の対象となっています。

二次検尿でも陽性だった、あるいは緊急受診の対象と言われた場合にはどうしたらよいの?

二次検尿での陽性者、緊急受診の対象者は、採血などの精密検診の適応になります。八王子市では精密検診のために市内の推奨医療機関に受診するよう指示されるはずで、当院も推奨医療機関の一つになっています。
精密検診では通常、採血・尿検査(試験紙法以外のより詳細な検査も行います)や、腎疾患を疑う場合には超音波検査が行われます。尿糖が認められる児では簡単な負荷試験も行います。
受診を指示された場合には、学校から渡された書類(学校検尿の結果、管理指導票など)と、既定の容器で早朝尿を採取し受診してください。容器を紛失してしまった場合は受診日の前に小児科外来に直接取りに来てくだされれば、予約の有る方に限り1セットを差し上げています(その場合には受診受付は不要です)。

学校検尿で血尿、蛋白尿がある場合は腎臓の病気が必ずみつかるの?

実は学校検尿で陽性となる児は多い(市内で200人前後)のですが、その中で実際に腎臓の組織検査(腎生検)の適応となり慢性糸球体腎炎が診断され治療の適応となる児は数人以下です。ですので、過度な心配はしていただかなくても大丈夫ですが、ただ早期発見・早期治療は腎炎の診療では重要ですし、受診時に進行した腎不全が発見され緊急透析となる児も全国的には散見されているので、やはり適切に受診し、検査を受けておくことは重要です。

学校検尿の日に生理になってしまったのですが、尿検査は出さなければだめですか?

生理中の尿は尿検査に影響することは間違いないのですが、学校検尿の提出の機会は残念ながら、施行期間の2回(一次検尿、二次検尿)しかなく、それ以外の提出は通常できません。学校検尿を学校で受けずに近隣の医療機関で尿検査を健診として受診することも可能ですが、その場合は自費での診療になります。ですので、できれば尿を提出し、陽性者として保険診療で精密検診に受診した方がご家族の経済的な負担は軽減できるかと思います。ただ、思春期の女児にとって生理中の尿を提出することは精神的な負担となる可能性があります。本人・家族や学校教員とよく相談して尿の提出を決める事をお勧めします。
八王子市では、当院を含め4つの施設が受診の推奨医療機関に指定されており、それ以外にも2施設(クリニック)が陽性児の応需可能施設に指定されています。
当院では、小児腎臓病学会、八王子市小児腎臓健診連絡会に所属する専門の医師が常勤医として診療にあたっており、腎生検の適応となった場合にも、施行可能施設と連携して主治医が検査を施行しています。ご理解のいただけるような説明を心がけておりますので、遠慮なく受診を検討してください。
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